”裁量労働制”にただひたすら反対する人たち

裁量労働制の対象拡大について、今までになく熱のこもった議論が交わされている。
果てには国会では政争の具となり、よく分からんデモに発展し、世間の関心の非常に高い。

-安倍首相、「裁量労働制削除」は「蟻の一穴」か
(http://toyokeizai.net/articles/-/210862)

-裁量労働制に反対、新宿で数百人がデモ 「裁量ない」「長時間労働増えるだけ」
(http://www.huffingtonpost.jp/2018/02/25/exemption-demonstration-shinjuku_a_23370750/)

インターネット世論としてTwitterを検索してみると、裁量労働制について、おおむね反対の意見が多いようだ。


さて、なぜここまで多くの人が裁量労働制に反対するのだろうか?
批判の中身を見ていると、残業代を支払う必要がなくなり「残業させ放題になる」といった意見が多い。

また、「労働者に業務量の裁量がないのだから、裁量労働制がうまく働くはずがない」という、労使問題がおきればあきらかに得をする弁護士の極めて冷静な意見もある。
読んでみればなるほど、その意見はいかにも正しいように感じる。

”使用者から「これをやれ」と命令がなされる”部分には労働者に裁量はないのです。 
これは、要するに、業務量については労働者には裁量がないということを意味します。
(中略)で、どれだけ長く働いても、あらかじめ、みなすとした時間だけ働いたとしかされません。
-裁量労働制とはこういう制度
https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakiryo/20180222-00081906/

僕は「裁量労働制に大賛成!」というわけではないが、これらの意見は短絡的であり、あまり賛成できない。
なぜなら、”経営”とは、そんなに単純な話ではないからだ。

”定額働かせ放題”なんてできるわけねーじゃん

結論から言うと、裁量労働制が拡大しても「残業代不要で労働者を働かせ放題」にはできない。
というか、できるはずがない。

そのような意見は、労働市場の感覚が完全に欠落した考えではないだろうか。

では、「定額働かせ放題などできない」という結論のイメージを固めるために、少し思考実験をしてみよう。

裁量労働制の対象が拡大した中で、とある会社Aがあるとする。
会社Aの経営者はこの裁量労働制を悪用し、定額働かせ放題をやってやろうと目論んだとする。

つまり、先の弁護士の佐々木氏の例えを借りるとすると、こんな感じだ。

(‘◇’)ゞ「仕事終わったんで、定時前だけど帰ります!」
( ゜Д゜)「もう終わったの?じゃあ、次はこれやって」
( ;∀;)「え?でも・・・裁量労働なんで・・・」
( ゜Д゜)「あ、そう。業務命令を断るんだ。へー。」
(*_*)「やりますよ・・・」
裁量労働制とはこういう制度 より引用

この例では、この真面目な労働者がとても可哀想に見える。
しかし、実はそんなことは全くない

なぜか?
答えは簡単で、別の会社に移れば良いからだ。

嫌気のさした労働者は、”定額働かせ放題”など考えていない、会社BとかCとかに移る。
一方で、”定額働かせ放題”をやろうとした会社Aからは、次々と人が抜けていき、”労働市場からの締め出し”という形で、淘汰されてしまう。

あなたが経営者なら、このような選択を取るだろうか?
(いや、取らない)

最後に

僕は、昨今の労働問題における、ある種の”経営者絶対優位”的な意見が正しいとはどうしても思えない。
むしろ、人手不足や他社への情報アクセス性の向上、競争の激化など、労働者の方が遥かに優位であると考えている。

問題は、そのような”労働者優位”を、政府や労働者自身が認識し的確に活かすことが出来ていないことが問題ではないか。
あなたは自分が思っているよりも自由で、色んな場所に行くことができるのだ。

3件のコメント

  1. ぬいさん、ありがとうございます。 本質は、問題が起きた時に現れる。 震災を通して、人間の様々な本質が見えましたね。 ただ、それは日本人の本質ではなく、人間の本質だと思います。 手と手を取り合うのは、絶望的な苦難への人としての抵抗し闘うためなんだと思います。 僕は、日本人が持つ「察する」という特性は、人と人がわかり合う上での最大の障害になっていると思います。 日本人とは、基本的に不器用だと思います。 真面目に真っ直ぐ行く。 だからこそ、労わる心を持っているのだと思いますよ。

  2. 今の社会、そう簡単に転職できるとは思いませんが、、、、

    1. コメントありがとうございます。管理人のTerryです。
      そう簡単に転職できない、とのことですがそんなことはないと考えています。
      例えば、転職者の推移にしても有効求人倍率にしても、リーマンショック以降増加基調なわけです。

      − 転職者300万人超えの真実 「35歳の壁」は崩れたか?
      https://style.nikkei.com/article/DGXMZO14000290T10C17A3000000?channel=DF180320167080
      – 有効求人倍率 1948年~2017年 年平均
      http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0301.html

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