バースデーパラドクスで考える、生体認証の危うさ

中国の、あの巨大国家でこのスピード感はすごい。
逆に、日本は紙幣の完成度が高く偽札の数が少ないことが、逆に現金主義を確固たるものにしてしまい、決済プロセスなどのテクノロジーに遅れを生じさせてしまっている。

さて、”危うさ”とディスってみたものの、僕は静脈や虹彩といった生体認証技術については肯定的だ。
複数の情報を合わせて認証すればいちいちパスワードとかを覚えずに、スムーズな本人確認を行うことが可能になる。

パスワードをメモ書きされるぐらいなら、その方がセキュアな状態になるのは自明だ。

しかし、だからこそ僕はこの”生体認証技術”が魔法の杖であるかのような世論には疑問を投げかけたい。
誤解が生じたままシステムが構築されると、いろいろな人が不幸になってしまう可能性がある。

ちょっと違う例えだが、”バースデーパラドクス”を例に、数学における直感と論理的確率の乖離を説明してみよう。

ここに、誤認率が100万分の1しかない、非常に精緻な生体認証技術があったとする。(指紋でも虹彩でも構わない)
自分が認証機能を利用して他の人のデータと間違える確率が 0.0001%なのだから、全然問題なく使えそうだ。

では、中高一貫学校があり、全校生徒が1,200人だったとして、この学校の生徒の中で誤認証で同一人物の判定が発生する確率は何%だろうか?

答えは、なんと50%を超えるのだ。
(正確には”100万分の1の事象が起こる確率が50%になるサンプル数”=1.18×√1,000,000なので、1,180人から50%を超える計算になる)
1200人でこの有様なのだから、億単位の人間が居たらどうなだろうか。

さて、この「ある事象は直感的には珍しいことだと感じるのに、サンプル数が増えたときには、体感よりも高い確率で起こる」というものを、数学では”バースデーパラドクス(誕生日パラドクス)”という。

これは、「ある集団に23人いれば、その中で同じ誕生日の組み合わせが存在する可能性が50%を超える」という、数学的真実を元にしたネタ話だ。

つまり、「大勢の人数を相手にする場合、高精度であっても生体認証は手段として向かないことがある」ということだ。

人は直感的には確率を正しく理解することが難しいとされている。
なぜなら、確率を正確に把握しないとどうしようもない場面に、日常生活でまず出会わないからだ。

しかし、テクノロジーによって、確率をはじめとした数学は、かなり身近なものになりつつある。
そのようなテクノロジーを扱う人間であれば、数学に強いことはもはや必須条件なのだ。

「顔認証」利用して支払い、ファストフードで財布要らず 中国

<概要>
中国でファストフード大手ケンタッキーフライドチキン(KFC)などを展開するヤム・チャイナ(Yum China)は、顔認証システムを利用した斬新な支払いシステムを導入した。
中国ではトイレットペーパーの盗難防止から旅行まで、あらゆることに顔認証技術を活用しようとしている。
東部浙江省(Zhejiang)杭州(Hangzhou)にあるKFC系列の店舗では、「スマイル・トゥー・ペイ」システムにより、顧客は財布をポケットなどに入れたまま支払いすることができる。
中国でKFCやピザハット(Pizza Hut)、タコベル(Taco Bell)などの大手ファストフードブランドを展開するヤム・チャイナは、顔認証を利用した支払いシステムで、同国の電子商取引大手アリババ(阿里巴巴、Alibaba)が設立した電子決済サービス、アリペイ(Alipay)と提携している。(c)AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3141435

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