タバコの値上げはいくらが妥当なのか?(その1)

フランスでの大胆なタバコ値上げが話題となっている。

今まで1,000円ぐらいだったタバコを1,300円に値上げするようだ。
価格上昇率約30%ということで、値上げってレベルじゃねーぞ、という感じである。

この手の話をすると、喫煙者・非喫煙者による感情論ポジション・トークが巻き起こるので、まずは僕の立場を明確にした上で冷静な観点で記事を書きたい。

僕は非喫煙者だ。
といっても嫌煙家ではなく、1年に数回ぐらいは友人と飲みに言った時に何本かもらいタバコをするような感じだ。
なので、タバコの値上げや居酒屋の禁煙問題は正直どうでもいいと考えている。
そういう意味では、タバコに関する話題は最も中立的に論じることができる人間であると思う。

どうでもいいクセに、なぜこんな記事をわざわざ書くのか。
それは、タバコが持つ価格決定メカニズムの複雑さ-”税金”・”嗜好品”・”本体価格”などの要因が挙げられる-が、とても興味深いからだ。

さて、そもそも政府からすれば税収増加オプションのカードとして、タバコの値上げはとても行いやすい。

なぜなら、タバコは嗜好品であり、生活必需品ではないからだ。
これによって、国民の頭の中で「文句言うなら我慢しろや」という感情の図式が成立する。

政策を実行する政治家にとっては、国民による人気投票(これを選挙というらしい)によって選ばれるかどうかがすべてだ。
つまり、人気投票に悪影響を及ぼす政策は取りづらく、そうでない政策は取りやすい。

これは同時に、「一度上がったタバコの価格は下がりづらい」ということを表す。
現に、タバコを吸う人は減っている(需要減)にもかかわらず、価格は下がっていない。


-成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)より引用
http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd090000.html

このような市場の需給が価格にを反映されない状態を、”価格の下方硬直性”という。
他に”下方硬直性”を価格決定メカニズムにもつ例は、”最低賃金”などが挙げられる。

そして、もうひとつタバコの価格決定で重要な要因がある。
それは、”価格弾力性”だ。

価格弾力性とは、「価格の変動によって、どれぐらい需給に影響があるか」という数値だ。
この価格弾力性が高いと、価格によって需要や供給に大きく変動があるということになる。

では、タバコの価格弾力性はどうだろうか?
模範的な解答をすれば、”高い”という答えになる。
その理由は、ここでもタバコが”嗜好品”であるから、ということに尽きる。

一般的に、嗜好品の価格弾力性は高い。
なぜなら、「欲しいけど、別に買わなくてもいいから」だ。
普段は行かないくせに、元旦の初売りではブランドもののセールに群がるメス豚が多いのはその最たる例である。

なので、タバコも価格の変動による需給への変動は非常に大きい…
と結論づけたいところだが、タバコに関して言うと、実はここにがあると思っている。

それは、タバコ自身がもつ”常習性”である。
これには2つ意味があって、「多少価格が上がっても(本来の弾力性と比較して)購入し続ける人が多い」ということと、「価格が下がったことをきっかけにタバコを始めるヤツは少ない」ということだ。

つまり、「タバコの弾力性は、嗜好品が本来もつそれよりも低くなる」という傾向にあるのではないか。

今回の記事では、タバコの持つ”嗜好品”という特徴から、価格の”下方硬直性”と”弾力性”を解説した。
次回からは、「では具体的にいくらぐらいが妥当なのか?」を論じていくこととする。

フランス たばこ1箱1,300円へ

<概要>
フランス政府は、たばこ1箱をおよそ1,300円に値上げする方針。
フランス政府は今後、3年以内に、たばこ1箱を今より4割ほど高い、およそ10ユーロ、日本円でおよそ1,300円に、段階的に値上げする方針を明らかにした。
これは、フランスでの喫煙率が、この20年間でほとんど減らず、たばこ関連による死者が毎年8万人に達しているため。
これまでにない大胆な値上げとなり、フランスはノルウェーなどに続いて、ヨーロッパで最もたばこが高い国の1つとなる。
ただ、値上げの具体的な時期などは決まっておらず、今後、議会で審議される。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00366185.html

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