【共謀罪】厳罰化って、やったら何かいいことあんの?

森友学園だの加計学園だの、はたまた皇族の結婚だの、スキャンダラス的で割とどうでもいいニュースばかり流れる中、「共謀罪(テロ等準備罪)」が、先日ついに可決された。

共謀罪とは、すごく簡単に言うと”犯罪を計画段階で罪に問うことができる”法律である。

【対象は?】
「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」
【どういう場合に適用されるの?】
・重大な犯罪を企図した「組織的犯罪集団」が、
・役割を分担して犯罪の実行に合意し、
・犯罪実行に向けて「準備行為」をした場合。
【準備行為ってなに?】
・「物品や資金の手配」「関係場所の下見」など。
・国会で具体例が出たのは「凶器を買うお金を下ろした」「ハイジャックに向けて飛行機を予約した」「犯行現場を下見した」など。
・何が準備行為となるかは、まずは捜査当局の判断による。
-「共謀罪」法案とは何か? わかりやすく解説します【今こそ知りたい】
http://www.huffingtonpost.jp/2017/05/29/conspiracy-law_n_16861692.html

計画段階で”というのがキモで、通常、法律には行動の前に罪に問うことが出来ないものも多いので、その壁を超えるものを作ろうとしていることは、従来の法の枠組みを超えるもののはずだ。
本来であれば、相応に議論を尽くした上で制定されるべきレベルの法律のはずだが、東京オリンピックが近づくにつれ、海外の情勢を気にする政府に”No”の選択肢ははじめからないので、ちょっと頑張って早巻きに法案を成立させた、という感じである。

この”共謀罪”に限らず、僕が以前から疑問に思っているのは、「みんな何でそんなに厳罰化が好きなんだろう?」ということである。
なぜなら、厳罰化したって良いことなんてほとんど無いからだ。

理由は2つ。
1.法規制には限界があり、本当に止めたい人を止められない
2.冤罪が起こるとしんどい(または、冤罪の可能性が上がる)

まず1から見ていこう。
法規制の限界の話。

これは少し考えれば分かるはずなのだが、テロレベルの事件を起こしたり再犯を繰り返すような”ぶっ飛んだ人”に「前より懲役が長くなったよ!」「牢屋に入れられちゃうよ!」って伝えて、「ほな止めときますわ…」という人がどれだけいるんだろう、という話だ。
この”ぶっ飛んだ人”とは、自分の行動に信念を持っていたり、何度も犯罪を繰り返したりするような人のことで、「(国家から見て)一番止めたい人」のことだ。

具体的には、秋葉原の加藤智大とか、ジュリアン・アサンジだったりスノウデンだったり…
あとは、麻薬常習犯の人とかだね。

世界の犯罪データを見ると、どの国にも犯罪を繰り返す者が一定数存在する。それはおよそ人口の数%だが、その少数の者が世の中の全犯罪の6割以上に関与している。
-入門 犯罪心理学(ちくま新書)「第1章 事件」より

こういった人達は、自分のやっていることが犯罪だと理解している。
牢屋に入るのが長くなろうが、国家から追われようが、そんなことは知ったことではないのだ。

あろうことに、政府はそんな人達に”厳罰化”で対抗しようとしている。
ポケモンで言うと、じめんタイプに電気ショックを浴びせても効果がないので、じゃあ10万ボルトにしようか…という話なわけだ。

にも関わらず、厳罰化を望む人が多いのは、「自分が気持ちいいから」ではないか、と最近思うようになってきた。
感情論で溜飲を下げることに国家のリソースを用いるのは、すごくヘンな話である。

2の冤罪関係の話だが、これもまた面倒くさい話で、感情論が横行しやすい部分である。
この話に手を出すと、やれ「被害者(遺族)の気持ちを考えろ」だの「やましいことがあるんだろう」だの、意味不明なことを投げかけられてしまうわけだ。

この共謀罪も例に漏れず、そのような人が幅を聞かせているような感じもある。
まぁ、「やましいことが何もないのに捕まる可能性がある」のが冤罪なわけで、上のようなことを言う人こそ、もっと深く考えるべきなのだが…

さて、共謀罪についても”テロリズム集団その他の組織的犯罪集団”という、定義が全く分からないものが対象になっている。
国家が「気に食わんヤツ」と認定すれば、後はそいつのSNSのログでも引っ張ってきて、グレーな会話履歴(下ネタとか)をテキトーに引っ張ってくれば、それで一丁上がりなわけだ。

また堀江貴文氏とか佐藤優氏みたいな例が出てしまうかもしれないね。
まぁ、こんな悲惨なことにはならないと思うが、最後の手段として、これを可能にしてしまうことは頭に入れたほうが良い。

最後に

色々と悲観的な見方をしてみたが、あえてそうしたのは、なぜかこの共謀罪という厳罰化に賛成している人が多いからだ。
(時事通信社の2017年2月の世論調査では賛成は66.8%、反対は15.6%)

でも、考えれば考えるほどメリットなんて無くて、「何でなのかなぁ…」と素直に思うのである。
テロは従来の法律でも取り締まれるにも関わらず、である。

もしかすると賛成してる理由なんて、溜飲を下げたい感情論か、自民党安倍首相が大好きな宗教的な人とかなのかもしれない。
海外情勢とのトレード・オフまで考えられている人は稀だろう。

人は結局、見たいように見て、信じたいように信じる生き物なのだ。

こちらのエントリもどうぞ。
– 【読書感想】入門 犯罪心理学(原田隆之氏著)
(http://www.sm-walker.jp/2017/02/11/01-221/)

「共謀罪」法が成立、自公強行

<概要>
犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が15日朝の参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数により可決、成立した。
自公は参院法務委員会の採決を省略するため「中間報告」と呼ばれる異例の手続きで採決を強行。
同法は実行後の処罰を原則としてきた日本の刑法体系を大きく変える内容で、野党は「監視社会や捜査権乱用につながる懸念を置き去りにした」と猛反発した。
法務省は、法施行は7月11日になる見込みだと発表した。
https://this.kiji.is/247855062234154486?c=113147194022725109

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