日本屈指のユニコーン企業「メルカリ」の快進撃を止めるべきではない

出品モラルの低下

日本が誇るベンチャー企業「メルカリ」の、出品モラルに関するニュースが後を絶たない。

衣類など個人間取引の「フリマアプリ」を手掛けるメルカリ(東京・港)は、現在流通する紙幣をフリマアプリで出品する行為を禁止した。
カード会社が禁止するカードのショッピング枠で現金を購入するといったトラブルにつながる恐れがあるため。出品された現金は見つけ次第、運営者が削除するという。
カード会社はショッピング枠とキャッシング枠の融通を通常は禁止している。
メルカリでの購入はショッピング枠を使う。
メルカリで現金を購入すれば、キャッシング枠を使い切った人でも現金を入手できる事態が予想されたため、今回の措置に踏み切った。
 -現金のフリマ出品に禁止 メルカリ、見つけ次第削除
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24I8V_U7A420C1TI5000/
個人間での商品売買ができる人気フリマアプリ「メルカリ」で、現金が額面より高値で売買されているとして、Twitter上などで話題になっている。
ハフィントンポストの取材に対し、メルカリの広報担当者は4月24日、現在発行されている紙幣の出品を22日から禁止した、と回答した。
同社によるとアプリ上では、元々、コレクション用として、古いコインなどを取引するユーザーがいた。
コレクションカテゴリーの中にはそうしたやり取りが行われている「貨幣」という専用のカテゴリーも設けられている。
しかし、その中に、現在発行されている紙幣が出品される例が見つかり、それがTwitter上などで報告されると、驚きが広がった。
例えば、「1万円札4枚」は4万7300円程度で販売されている。さらに、その中には、売買契約が成立した印が付いているものもあった。
-「1万円札4枚」が4万7300円、なぜ? メルカリが現金を出品禁止、広報担当者に聞いてみた
http://japanese.engadget.com/2017/04/26/1/

以前までは、メルカリを叩く材料としては、”独自ルール“の乱発などによる「ユーザーの民度が低さ」が挙げられていたが、最近は少し状況が変わってきているようだ。
”民度が低い”みたいな意見はぶっちゃけ感情論だったので、「じゃあ使わなきゃ良いじゃん」で済んだのだが、今回のようなマネロンだの資金洗浄だの(誇張した表現だが)といった話なると、法律も絡んだりするわけで、メルカリ陣営も対応に追われているようである。

メルカリの快進撃

じゃあここで「メルカリは何か悪いことをしてるのか?」という議論になるわけだが、答えは明白だ。
そんなことはない

この手の議論は、新しいサービスや技術が出るたびに繰り返される話で、いい加減飽き飽きしている人も多いだろう。
LINEでいじめをする人もいれば、メールで不倫相手と連絡をする人もいるし、パソコンでハッキングを人もいれば、包丁で人を刺す人だっている。
じゃあ、それらを法整備してサービスや技術を規制し禁止すべきなのか、と言われれば答えはノーだ。

サービスや技術は所詮ツールなわけで、結局は使う人によって善にも悪にもなるという結論にしかならないのである。
当然、モラル低下を防ぐ仕組みやシステムを作る努力を怠ってはいけないのだが、すでにメルカリは出品監視の強化や検索機能の改善などによって、対応を順次行っている。
画像認識とか文章の解析なんかも、今後行われると考えていいだろう。
現在はいたちごっこの最中というだけの話で、モラル低下を容認し放置しているわけではない。

もともと、メルカリは過去の希少価値の高い硬貨・紙幣の取引(例:記念硬貨など)は可能していたが、現行貨幣の出品は禁止されていた。
しかし、ユーザーの中には、二千円札や円の位置がずれた五円玉など、「現行の硬貨・紙幣でも希少価値の高いものを出品したい」という要望する人もいたようで、2017年2月14日から現行紙幣の出品を可能にした、という背景がある。
そうした状況の中で発生した現金出品の問題。一部ではマネーロンダリングへの利用やクレジットカードの現金化(ここで言うのは、キャッシング枠でなくショッピング枠で現金を得るために、ショッピング枠で現金を購入する行為)などの可能性があると問題視する声が高まった。
これに対してメルカリの広報担当者は「弊社が当初、想定していなかった『現金を額面以上で販売する』という出品が行われ始めたため、未然にトラブルを防ぐために現行紙幣の出品禁止にし、取り締まりを強化しました」と説明する。
すでにサポートが対応して現金の取引については削除を進めており、実際メルカリ内で「現金 貨幣」などと検索してみても、現行の硬貨や紙幣の出品は見当たらない。
-メルカリに相次ぐ現金・チャージ済みSuicaの出品——違反商品の監視を強化へ
http://jp.techcrunch.com/2017/04/25/mercari-money-suica/

今後も違反出品者は、色々な手で監視をかいくぐってくるだろうが、メルカリ側としては後出しじゃんけんをすればいいだけの話だ。
そうこうしているうちに、メルカリには非常に健全なシステムが出来上がっていることだろう。

そんな些末ないたちごっこで、日本唯一のユニコーン企業の快進撃を阻止するのは忍びない。
ことメルカリに関しては、時価総額だけでなく、グローバル展開が好調である点も見逃せない。

こんな企業は、今まで日本からは全然出なかったのだ。
グローバルだの何だのといって、社内で英語でコミュニケーションをとったり、海外に拠点を作ってこそこそと事業をするような、薄っぺらいちゃちな戦略しか取れないような企業ばかりだったではないか。

英語も海外拠点も経営の”ツール”でしかない。
本当のグローバル戦略とは、世界で通用する強固なビジネスモデルを作り上げることに他ならない。
それを実現できている数少ない企業が、「メルカリ」なのだ。

スマートフォンを通じ消費者同士が物品を売買するアプリ「メルカリ」が追加の資金調達を検討している。
ダウンロード数で一時、全米3位に浮上した勢いを受け、欧州での展開も視野に入れる。
米国に続き、早ければ年末に英国でサービスを開始することを目指しており、欧州各国での展開も検討している。
ダウンロード数は、日本で3000万、米国で1200万を超えた。日本での月間流通額は100億円以上となっている。
-日本初ユニコーン「メルカリ」が追加資金調達検討、米でも普及進む
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-03/OB9BK66KLVR401

他にもやるべきことがある

というかそもそも、フリマアプリひとつに振り回されるような、日本社会の現金主義がダメなんじゃないのか?

世界の主要国・地域のなかで日本の現金主義が突出している。
国際決済銀行(BIS)の2015年時点の最新統計をもとに日銀が分析したところ、日本で流通する現金残高は名目国内総生産(GDP)の19.4%となり、2位の香港(15.5%)を大きく引き離してトップだった。
現金決済やタンス預金の比重が大きいことが背景にある。
 日本の現金比率は10年前の05年(16.7%)から一段と上がり、現金主義は強まっている。
-現金主義、日本が突出 日銀分析 安心・匿名性に支持
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO13391290W7A220C1NN1000/

そもそも現金なくしちゃえば、現金の出品はなくなるわけだ。
魚のオブジェクト作ったり、カモフラージュして紛れ込ませるような手段は実行不可能になる。

残りはSuicaとかのカード類や商品券だが、これらは、お札のように折ったり曲げたりすると使えなくなるものが多いので、出品物への画像認識で一掃できるものと考えられる。

そもそも、現金は運用コストがめちゃ高くて、 思いつく限りでも、これぐらいある。
①中央銀行が印刷・保有・流通するコストを負う
②運搬にあたり、警備会社やトラックのチャーターが必要
③銀行や店舗は、現金を数える業務を行っている
④ATMやレジ・自動販売機など、現金を補充するコストが必要

頭の固い輩からは「現物をなくして大丈夫なの?」みたいな声が上がるそうだが、むしろ無い方が安全だ。
例えば、スウェーデンではキャッシュレスの流れが広がっており、銀行の支店にすら現金が全く無い。
その結果、2011年に9000件あった銀行強盗が、1年で21件に減少しているそうだ。

2012年には、スウェーデンの6大銀行のうち、現金を扱っている銀行は1社となった。
銀行のキャッシュレス化によって激変したのが銀行強盗である。
2011年に9,000件もあった銀行強盗件数が 2012 年には21件まで減少したのである。
-現金廃止を進める北欧諸国
https://www.trendswatcher.net/june2015/geopolitics/%E7%8F%BE%E9%87%91%E5%BB%83%E6%AD%A2%E3%82%92%E9%80%B2%E3%82%81%E3%82%8B%E5%8C%97%E6%AC%A7%E8%AB%B8%E5%9B%BD/

「メルカリはアプリ運営を見直せ」みたいな話をしたい人がいっぱいいるんだろうが、見直すべきなのは、まず日本の現金主義なのだ。
しかも、現金主義からの脱出は、メルカリユーザーだけでなく国民全体に広がるものだ。

メルカリは、モラル低下に対応するため、自社の仕組みをどんどんアップデートさせている。
その一方で、日本政府や社会、そして国民はいつまでも変わらない。

変わるべきはどちらなのか、答えは明白である。

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