【書評】大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる -読書メモ

読んでみました。

結構薄味だったけど、それがいいな、と思いました。

あまり著者の個人的な意見はないのだけど、一番最後のあとがきにいい言葉があったから引用します。

本書を読み終えた読者は、どこか自虐的な雰囲気が漂うことに気が付いたはずです。

自虐的に感じるのは、経営学の理論やモデルが、常にビジネスの世界やデータで検証され、修正されたり、否定されたりしていることを正直に紹介しているからです。

しかし、そこにこそ進歩の芽があり、正しい理論やモデルの生まれる可能性があります。

一経営学者として、「今では科学的に否定されています」と書けることは、誇りに思いこそすれ、恥じることとは決して思いません。

経営学はサイエンスなのです。

それが大学の経営学です。

ということで、一部、読書メモ公開しときます。
(内容は著書より引用)

■01_大きな組織を効率よく動かすためには?

・大きな組織になるには、階層構造を作らなければならない

 →フラットな組織は40〜50人くらいになると分裂してしまう

○官僚制

 ・マックス・ウェーバーが定義した、以下のような組織制度

 1.職務を専門化することで分業

 2.担当者が変わることで対応が変わらないよう規則を明確化

 3.文書による職務の記録

○逆機能的組織学習

 ・イレギュラーな事象を、他の例と同じく一般化して対処すると、予期せぬ結果に終わることがある

■02_組織均衡

・退出の意思決定:人は、満足尺度がゼロの時点で会社を辞めるわけではない

 →不満を口にしているのに会社を辞めようとしない人がいるように

・参加している人は、お金もそれ以外のものもすべてひっくるめて労働と釣り合っているから参加を続けている

■03_組織学習

・組織は学習してルーチンが改善すれば、当然組織の生産性も向上する

・コミュニケーションパターン:センターに一人がいる車輪型と、平等なサークル型がある

・組織記憶:組織内のメンバーの関係には、人が入れ替わっても持続性がある

■04_個体群生態学

・個体群生態学:組織は環境に適応して行かないと生き残れないとする説

・構造的慣性:組織には持って生まれた慣性があり、環境の適応には限界がある

・新しさの不利益:古い組織よりも新しい組織の方が、実は失敗しやすい

 →多くの実証研究で確認されている

■05_人間資源的アプローチ

・自然的怠業:テイラーが論じた、人は本能として楽をしたがるものだ、とする考え方

 →テイラーの「自然的怠業」に反論するものが次々と現れる

・Y理論:人は仕事が嫌いなのではなく、条件次第では自発的に働く、とする理論

・動機付け衛生理論:達成や責任は満足をもたらす「動機付け要因」、給料などは不満足を予防する「衛生要因」とする考え方

・マズローの5段階承認欲求はすでに否定されている

■06_集団浅慮

・リスキー・シフト:人間は集団になると勢いづく
 (赤信号、みんなで渡れば怖くない)

・人は集団になると、誤った決定をする可能性が高くなる

・コーシャス・シフト:人は集団になると慎重になるという考え

■07_ドミナント・ロジック

・多角化をカテゴリーして、本業に近い分野に多角化した方が、成功しやすいことが研究された。

・ドミナント・ロジック:成功の方程式のこと。組織の学習として、成功したロジックだけが残り、組織内を支配する。

 →自分達のドミナント・ロジックが通用する分野であれば、多角化は成功しやすい

・アンラーニング:組織学習のひとつで、失敗したロジックは捨てられていくこと

■08_ドメイン

・実は市場に明確な境界はなく、会社が主体的・主観的に決めるもの

・ドメイン:会社が主体的に決めた事業領域のこと

・マーケティング近視眼:ドメインを狭く見がちな傾向のこと

・全社戦略にとって、ドメインをどのように再定義するかが基本中の基本

■09_知財戦略

○契約だけで知財は守れないので、工夫する必要がある

 ・重要な技術の場合は100%子会社化する

 ・提携先に資本提携する、取締役などに人を出す

○提携した際の利益の回収方法

 ・ロイヤルティー:技術の使用量

 ・技術指導料の徴収

 ・設備・部品の価格上乗せ

 ・出資している場合、株式配当をもらう

→あらゆる手段を考え、広く浅く利益を回収するのが良い

・クロス・ライセンス:互いに知財の使用を許諾する場合の契約

 →実態としては、「互いの特許権侵害を訴えない」という相互不可侵条約であることが多い

■10_海外派遣者

○アメリカン・ジレンマ:本社とのパイプ役を果たす海外派遣者が不足すること

 ・アメリカ人海外派遣者の失敗率(任期途中での帰任率)は、一貫して高い

 ・カルチャー・ショックや帰国ショックが原因とされる

 ・アメリカでは、海外帰任者の4分の1から2分の1が離職しているとするデータさえある。

■11_コンカレント・エンジニアリング

・シーケンシャル・エンジニアリング:様々な活動が、順を追って逐次行われること

・リードタイム:製品コンセプトの創出から、市場への投入までの所要時間

・コンカレント・エンジニアリング:製品開発の活動の多くを、同時並行で進め、リードタイムを短縮すること

・フロント・ローディング:想定される問題を、できるだけ早い段階で早期に解決すること

■12_オープン・イノベーション

○オープン・イノベーション:企業内部・外部のアイデアを結合して、新たな価値を創造すること

 ・出口も多様で良い。ライセンシングやスピンオフ、他の会社への常駐など。

 ・ただし、研究開発のタダ乗りをある程度許容しなければならない

 ・現実には、中核の技術者が企業間を移動する場合は、半年以上時間を開けるのが普通

  →最新の機密情報がバレないようにするため

 ・社内であっても、ソフトウェア技術者が開発からオープンソースの開発部署に移る際は、忘却期間を空けることが多い
  
  →覚えていたソースコードが流出する恐れがある

以上!

まだ経営学に触れたことない人は、ざっと読んでみて!

大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる

<概要>
これを読めば大学の経営学部を「ざっと」卒業できる!

エリート東大生たちが学ぶ経営学とはどのようなものなのか。
20年以上東京大学で教鞭をとる著者がその講義のエッセンスを本書で公開する!

<著者>
高橋 伸夫
経営学者。東京大学大学院経済学研究科教授。
日本企業の意思決定原理に関する研究と、企業の人事・人材育成システムのほか、組織学習に関する研究を専門とする。
主な著書に『できる社員は「やり過ごす」』(日経ビジネス文庫)、『組織力』(ちくま新書)、共著に『知の技法』(東京大学出版会)などがある。

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